おひさまのはなし
6月くらいに毎年雨が降る時期があり、ひとはそれを梅雨と呼ぶ。
梅雨の時期はとにかく雨が降る。ふつう、雨が降るのなんて1週間に1回もないくらいだろうけど、梅雨はとにかく雨だ。雨じゃないほうがめずらしいくらい、雨だ。
そんな雨の日々のなかに、ときどきおひさまが顔を出すことがある。湿度が高くてじめじめして、それはそれで嫌だなあ、なんて言いながらも、内心うれしかったりして。
梅雨を過ぎると夏も本番で。おひさまはなんとなく嫌われる存在になっていく。暑くて暑くて、うだるように暑い日々。
おひさまを見てよろこんでもらえるのは、冬までもうないんだなって思いながら。おひさまは、梅雨の時期にかわいがってほしくて、ときどき顔を出す。
めいっぱいに、かわいがってあげたい。そんな日。